思考訓練場

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SNS等の影響と今後の取り組み

「情報や動画の共有サイトSNSなど、インターネットを利用して誰でも手軽に情報を発信し、相互にやりとりができるソーシャルメディアの普及による影響についてあなたのの考えを論じなさい」H29 神奈川県 1h30m 1000-1500

 

 私はソーシャルメディアの普及は市民にとって大きな公共性をもち、行政は防災や広報の仕組みの変化させる必要とさせる影響力があると考える。近年、自然災害による被害が相次いでいる。首都圏においても、今後30年以内に70%の確率で首都直下型地震が発生すると言われており、行政による地震対策は重要課題である。そして災害の度にソーシャルメディアを通じて被害状況や、支援要請などが拡散されるようになった。つまり緊急時に即時的な情報共有ができる事で、被害状況を最小限にできる可能性がある。一方で、デマが拡散し、本来助けが必要な地域に支援が行きとどかないケースも発生している。そこで、基礎自治体は市民との繋がりをソーシャルメディアの相互的なコミュニケーションの仕組みを構築する事で、これまで発生していたSNSを通じた失敗を減らし、より市民の安全を確保できるのではないだろうか。

 これまでは、防災行政無線やテレビ、ラジオなどを使った一方的な情報発信手段が活用されてきた。しかし、2017年現在の内閣官房による調査によると、全国1741自治体のうち941自治体は災害時にSNS等の活用又は活用予定であり、その中に国民の約86%が分布されている。一見、ほとんどの自治体でSNS等を活用できているように見えるが、情報発信のみの活用をしている自治体が9割を占めており、相互的な活用ができていないのである。つまり、これまでの一方的な情報発信と変わらず、被害情報を収集するには情報の信憑性が確保できていない現状である。そこで、例えば事前に市民リポーターを募り、登録された市民や自治会などと相互的にやり取りする方法や、自治体職員間での情報の管理や共有に活用することができると考える。ソーシャルメディアの弱点には匿名による情報の信憑性や、悪意のないデマの拡散などがあるが、事前にフィルターをかけることで混乱を防ぐ手段は幾つもある。

 実際に、2019年9月に発生した台風15号によって千葉県南部を中心に停電や断水の被害が受けた。その際に被災者によるTwitterでは「行政の支援が何もない」という書き込みが拡散された。このような事実とは異なった書き込みは、拡散性が高く、被害の拡大につながる恐れがある。また、祖父の家も台風によって屋根が飛ぶ等の被害を受け、私は応援に行った。その際に、自治体からの避難所の情報を入手する手段に悩んでいた。デジタルメディアに馴染みのない高齢者への迅速な情報共有は、全自治体のこれからの課題である。

 以上のことから、行政が能動的に情報を収集し、発信することで災害による被害を小さくすることができ、行政のあり方に大きな影響を及ぼしている。また、相互的な情報共有は自治体と地域コミュニティの情報インフラを構築にもなり、市民のニーズに応えていく自治体の政策決定にも活用できると考える。つまり、市民協働に活用できるツールとなる。たしかに、プライバシーや個人情報保護の観点から、市民の情報収集に議論が必要であるが、ソーシャルメディアが普及した以上、公共性の高いツールとして活用するべきであると考える。(1376文字)